易と仏教の本で似た記述を見つけた話、その2です

一昨日ブログに、易は「吉か凶か」ではなく「吉凶併せ持つのが人生」という発想のようだと書きました。

凶だと思っていた卦(か)が、河村真光著「易経読本」(光村推古書院)という本に、「そうではない」と解説されていたんですね。

「卦辞の「維れ心亨る」は、険難も真っ向から取り組めば、誠意は必ず天に聞き届けられると太鼓判を押し」ている。「人は生きている限り、災禍は誰の上にも等しく、しかも正確無比に降りかかるものと、日頃から腹をくくっておくべきである」、というように。

逆境のときも含めて人生であること、さらにいえば、その逆境をさえ前向きに利用しようという発想があるようなのです。

そして数日前にも書きましたが、河村さんの本と同時に読んでいるティク・ナット・ハンさんの本にも、似たような記述があるんですね。

今日、ティク・ナット・ハンさんの「ブッダの〈今を生きる〉瞑想」(野草社)を読んでいたら、そのような箇所がありました。

この本は三つの経典について解説しているのですが、その中の一つ、「大いなる人の八つの悟り(仏説八大人覚経)」について、ハンさんが日常の中で応用できるように十一のガイドラインを作成されています。以下、その十一番目からの抜粋です。

「ブッダは、病や苦しみを卓効のある薬と呼んだ。困難や災厄に見舞われるときは、自由と悟りの機会でもある。障害は解放にも変化しうる。ブッダは、悪魔の軍が法の護衛にもなりうると言った。成功には困難が必要だ。」

これにはちょっと驚きました。ブッダさんの発想は普通の人間の発想を優に超えています。

そしてもう一つの経典、「幸福についての教え(吉祥経)」から。

こちらは、安らぎと幸福に満ちた人生をもたらす十の恵みについて解説されています。

以下は、その十番目についての解説からの抜粋です。

「この世に居ながら、人生の浮き沈みに煩わされず苦しみに飲み込まれない人がいたなら、その人は自由と揺るぎなさを体現しています。 (中略) その平静さを身に着ければ、現世の苦しみはことごとく解け、私たちは不屈さと完全な安らぎを手に入れることでしょう。」

冒頭の易経と言わんとすることは同じですよね。

ティク・ナット・ハンさんの説くマインドフルネスはかなり効果があるように感じますので、毎日少しずつ実践してみたいと思っています。