パソコンで職人的な音のデータ作りをしていました

Windows 98からは、OSにソフトウェアMIDI音源が標準で含まれるようになりました。

ソフトウェアMIDI音源というのは、Roland SC55のようなハードウェア音源をソフトウェア的にシミュレートしたものです。

シミュレートといっても、波形に使うメモリの量も制限されますし、アナログ出力までのクオリティは専用ハードに比べるべくもありませんが、とてもいい音だと思います。

パソコンメーカーも、マザーボードにサウンドボードを標準で搭載するようになりましたので、わざわざサウンドボードを購入する必要もなくなりました。

当時のサウンドボードやMIDIインターフェースのようなボード類は、今のパソコンOSには対応していないでしょうから、ほとんどが使えないと思います。

とはいえ、そうなる前は、インターネット上にROLANDのSCシリーズやYAMAHAのMUシリーズ用の音楽データが溢れていたものです。

MIDIという標準仕様と、SCやMUという音源の普及によって、演奏データのクオリティを競い合う環境が出現したんですね。

今考えてみると不思議な時代だったと思います。

私がアルバイトでゲームのSEや音楽を作っていたのはそれより昔。NECのPC-8801やPC-9801のサウンドボード、FM音源3声+PSG音源3声の時代になります。

PSG音源は「ビィーッ」という音かノイズしか出せませんので、基本的にはスネアドラムかシンバルくらいにしか使えません。

ギターやピアノで伴奏するとき、FM音源を3声分使わないとコード感が出ないのですが、ベースギターやバスドラムのような低い音は、FM音源を使わないとそれらしく聴こえません。

音符1音単位で音色を切り替えるなど、必死で工夫していました。

SE作りでも、FM音源の音色エディットで一日中格闘していました。

しかし今振り返ってみると、この頃は毎日とても楽しかったように思います。

前述のMIDI音源のデータ作りもそうですが、限られた環境でベストのクオリティを出そうと集中しているときは、心は充実しているのかもしれません。