易というのは、易者さんが筮竹(ぜいちく)という細長い棒を使って行う占いの一種です。
占うと、「-」という陽の卦と「--」という陰の卦が、六つ組み合わさった結果がでます。
「当たるも八卦、当たらぬも八卦」という言葉があるように、合計で六十四通りの組み合わせができます。
その六十四通りそれぞれの意味を説明したものが易経です。
氷見さんの「易経入門」は、その六十四卦の一つ「渙(かん)」の意味に、ソポクレスのギリシア悲劇「アンティゴネ」に登場する人物六人が、一つ一つの卦にぴったりと当てはまったという衝撃から生まれた本のようです。
本には「オイディプス王」や「エレクトラ」などの全七篇について解説されています。
確かに六十四卦から選ばれたものに、六人の性格や運命がぴったりと合致しているのは驚きです。
各篇の解説の最後には、東洋の賢者との対話と題して、登場人物が易経の言葉を持って語る東洋人と対話しています。
久々に大変面白い本で、すぐに読み終わってしまいました。
もともとこの著者のお仕事は金融関係で、各国の代表とのシビアな交渉の日々に、易経を読むことで心の平静を保っていた、というようなことが書かれています。
そうですか。いいことを聞いた。
私の仕事は、この方に比べたらずいぶん甘いものでしょうが、それなりに悩むことも多いです。
易経を読んでメンタルヘルスをケアして行こうと思いました。