易経には、いろいろなシチュエーションにおける人間関係のことが書かれていて、その一つ一つのエピソードを卦(か)と呼び、全部で64卦あることをお伝えしました。
そして、一つの卦は陰(--)か陽(-)の横棒六本で表現し、その横棒のことを爻(こう)と呼びます。
爻は実世界の人の身分を表していて、一番下は一番低い身分の人で、上に行くほど身分が高くなります。
以前、ソポクレスのギリシア悲劇全七篇の各篇を一つの卦に、登場人物六人を各爻に当てはめて解説した、氷見野良三著「易経入門 孔子がギリシア悲劇を読んだら」(文春新書)という本をご紹介しました。
これから分かるように、六本の爻の内容は卦ごとにそれぞれ違うので、64卦×6爻=384種類の爻があることになります。
私は易経を読み始めてまだ間もないので、正確なことは分かりませんが、易者さんは解説書も見ずに細長い棒の束で、ジャラジャラと占っていらっしゃいます。
当たり前なんでしょうが、64の卦と384の爻を覚えて自分なりの解釈をされているんですよね。スゴイ。
ある易の先生が、ブログで「易の世界は奥深く、一生かかっても学びきれないでしょう」と書いていらっしゃったので、さもありなんと思ってしまいます。
易経で面白いと思ったのは、普通に考えてすごくいいと思われるものは、必ずしもそうではないという解釈なんです。
それは爻にも表れていて、一番身分の高い王様は一番上かというとそうではなく、上から二番目になります。
一番上は位のない賢者なんですね。
王様も敬う賢者は、位を持っていないという意味で、一番低い身分の人にも通じるということなのかもしれません。