井筒俊彦さんと司馬遼太郎さんの対談は一冊の本にして欲しいくらいです

昨日、注文していた井筒俊彦さんの「コスモスとアンチコスモス」(岩波文庫)が来たので、しばらくの間読んでしまったことを書きました。

巻末に司馬遼太郎さんとの対談も載っていたので、珍しい組み合わせだなと思って、そちらも読んでしまいました。

司馬さんといえば数え切れないほど多くの小説や紀行文を残されていますが、私が読んだのは「梟の城」や「坂の上の雲」の最初の何巻か、「街道をゆく」の何巻か・・・。何を読んだかはっきり覚えていません。

それでも膨大な知識と経験をもとに書かれている司馬さんの文章はとても面白くて、一旦読み始めると時間を忘れて読んでいた記憶があります。

例えば、街道をゆくシリーズの「肥前の諸街道」(朝日文庫)の虹の松原を紹介されているところは、本来は二里続くことから二里の松原という名称だったのが、武士より町人の文化が優勢だったところから虹の松原という洒落た名称になった、というようなことが書かれていました。

子供の頃から何度も通っているのに、こんな感動的な話があったなんてびっくりした記憶があります。

そんな司馬さんが河合隼雄さんを愛読されているということで、ユングのことを井筒さんに質問されているのですが、無意識の話ならばと井筒さんは唯識についての解説を始められます。

その説明がとても分かりやすい。

司馬さんが素朴な好奇心を持って質問されるので、井筒さんもそれを受けて丁寧に説明されているのだと思いますが、このような司馬さんの好奇心が、あれだけ膨大な著作を残された原動力なんだろうなと思いました。

お二方が、一冊の本になるくらいもっともっと長い対談をしてくれていたら、とちょっと残念に思ってしまうくらい、私にはためになる対談でした。