文化芸術はその時代の人々の精神的な影響を強く受けるのですね

私は本を何冊も同時に読みます。しばらく読んで飽きたら他の本を読む、という感じです。

積読している本もあります。

何年か前に買って積読中だった若桑みどり著「マニエリスム芸術論」(ちくま学芸文庫)を読み始めました。

本の裏表紙には、「マニエリスムとは何か。それは危機の時代の文化である。・・・(中略)・・・だが、その根本を支えてきたキリスト教的世界像が崩れ、古き中世が解体する16世紀は、秩序と均衡の美学を喪失する。不安と葛藤と矛盾の中で16世紀人は「危機の芸術様式」を創造する。・・・」とあります。

16世紀といえば、ルターの宗教改革、マゼランの世界一周、コペルニクスの地動説など、それまでの価値観が大きく揺らいだ世紀です。

文化庁のホームページ「(1)文化芸術振興の基本理念」には「文化芸術は人間の自由な発想による精神活動及びその現れであることを踏まえ,文化芸術活動を行う者の自主性を十分に尊重する。」とあります。

つまり、「キリスト教的世界像が崩れ」た時代の芸術様式を読み解けば、その時代に生きていた人の精神意識が理解できるということですね。

15世紀にルネサンスが隆盛を極めたあと、教科書的にはバロックになるのでしょうが、バロックは17世紀みたいです。

その間の16世紀の様式がマニエリスムということのようです。

マニエリスムなんて、中学、高校の歴史の時間には習いませんでしたよね。

若桑さんの本を読んでいると、マニエリスム後期の画家としてエル・グレコの名前も出てきます。

学生の頃、エル・グレコ展を見に行った記憶がありますが、大きなサイズのキャンバスに描かれた、強い色使いと服の皺の濃い陰影の絵が、今でも印象に残っています。