歴史と文化芸術の関係をとても興味深く感じるようになりました

「○○世紀は○○文化の時代」と杓子定規には決められないでしょうが、やはりその時代の特色ある文化は存在するはずで、昨日お話ししたマニエリスムなどは、20世紀に入るまであまり知られていなかった、というのも興味深い話です。

その理由として、若桑みどりさんの「マニエリスム芸術論」には、「・・・十七世紀の新古典主義的美学と美術批評が、全力をあげて十六世紀を否定したためであり・・・」と書かれています。

文化庁のホームページにあるように、「文化芸術は人間の自由な発想による精神活動及びその現れである」ので、もしマニエリスムという様式が知られていなかったとしても、十六世紀の絵画や彫刻を見て、そこに十五世紀のルネサンスとも十七世紀のバロックとも違うものを感じたならば、どの時代とも異なる人々の精神の特徴を想像することもできるわけです。

その時代の人々の精神活動の現れが文化芸術なのですから。

私にそれができるかといえば無理のように思いますが、この本を読んでそんなことを思い付いたのは収穫でした。

私は人物の名前や年号を覚えるのが苦手て、日本史や世界史の成績はよくありませんでした。

美術に興味があるかといえば、美術館に行く程度の興味はあるのですが、特定の画家や彫刻家に耽溺して、作品や生涯を追いかけるようなこともありませんでした。

しかし、歴史上の人物や事件が人々の精神に影響を与え、その結果特徴のある文化芸術が生まれる、という因果関係を学生時代に気付いていたならば、俄然歴史に興味を持てたのではないかと思います。

とはいえ、このことは歴史の授業だけでなく現代にも当てはまりますから、そのように意識して文化芸術を観察するのも面白いなと思っています。