ある時期から、真空管のレコーディング機材はリーズナブルなものが出てきましたが、私が大学生の頃は真空管のものはプロ用の機材くらいで、とても高価でした。
なぜあんなにサンレコに夢中だったのか考えてみたのですが、多分そのような高嶺の花の機材の試用レポートが読みたかったんですね。
高価な機材の使い比べをしてみたり、あのヒット曲はどんなビンテージ機材を使ったのかというエンジニアのインタビューなど、イメージするだけでワクワクするような記事が多かったように思います。
もちろん、コンピューターのプラグインソフトの利点はたくさんあります。
高価で手の届かないビンテージ機材を、リーズナブルな価格でシミュレートしてくれるのですから。
今思い出したのですが、自動車雑誌のカーグラフィックが、創刊号を復刻したものを付録にしている号がありました。
その復刻版には、ガルウィングで有名なメルセデス・ベンツ300SLのテストレポートが掲載されていました。
記事のモデルはオープンタイプのようですが、それでも当時は、今でいうポルシェやフェラーリどころではなかったのではないでしょうか。
当時のクルマ好きの庶民にとっては、夢のような記事だったと思います。
例としては極端すぎますが、当時の私にはとても手の届かなかった、NeveやTUBE-TECHのような高価な機材の試用レポートが読めるわけですから、ワクワクしたのは当たり前だと思います。
自分の知らない世界を疑似体験できるということで、夢中になっていたのかなと思っています。