三日前の続きで、説明が途中で終わってしまった「小随煩悩」について書いてみたいと思います。
大乗仏教の深層心理学ともいわれている唯識の中でも、私が特に興味を持っているのが心の働き、心の作用の面を細かく分析した心所有法といわれるものです。
心所は六つのグループ、五十一種類に分類されていて、小随煩悩は随煩悩というグループを更に三つに分けた中の一つです。
危害を加えようとするほどの怒りやうらみ、ねたみ、へつらいなど、これでもかというほど心の働きが列挙されていて、読んでいてどんよりした気分になってくるのですが、それは自分に心当たりがあるということなのでしょう。
怒りを予防したり鎮めたりする手法が書かれているアンガーマネジメントの本がたくさん売られていますが、唯識の心所の解説と坐禅を組み合わせた手法を取り入れれば、アンガーマネジメントにとても効果があるのではないかと思っています。
小随煩悩は、次のように三種類の根本煩悩を根源として働くとされています(根本煩悩は六つのグループの一つ)。
「根本煩悩の貪(とん)・・・自分と自分の境遇に執着する」を根源として働く小随煩悩。
- 覆(ふく)・・・隠し立てをする
- 慳(けん)・・・ものおしみする
- 誑(おう)・・・たぶらかす
- 諂(てん)・・・へつらう
- 憍(きょう)・・・うぬぼれる
「根本煩悩の瞋(しん)・・・自分の気にいらぬものに腹を立てる」を根源として働く小随煩悩。
- 忿(ふん)・・・腹をたて危害を加えようとする
- 恨(こん)・・・うらむ
- 悩(のう)・・・他を悩ませる
- 害(がい)・・・いのちへの思いやりがなく他を悩ませる
- 嫉(しつ)・・・ねたむ
「根本煩悩の癡(ち)・・・ものの道理のわからぬ愚かさ」を根源として働く小随煩悩。
- 覆(ふく)・・・隠し立てをする
- 誑(おう)・・・たぶらかす
- 諂(てん)・・・へつらう