民俗学に陰陽五行や易のような知識は有効でしょうが敷居が高い気がします

先日、吉野裕子さんの「陰陽五行と日本の民俗」(人文書院)のことを書きました。

あんまり面白いので、新たに吉野裕子全集(人文書院)の第6巻と第9巻を注文しました。

第9巻は「五行循環」と「十二支」という単行本の内容が収録されていて、今日はその最初の方に目を通していました。

例えば第二章のタイトルは「松・松迎え・門松」。

農山村では、正月を迎えるために、年の内に山に入って松を伐ってくる。

正月の月は子丑寅・・・でいえば寅、五行でいえば木気。なぜ山に入り伐ってくるのが松でなければならないのか?

「松」の字を偏とつくりに分けると、つくりは「公」。「公」の古字は「㒶」。つまり八白の木となり、九星でいえば八白土気。

そして易でいえば、「山」と「松」を表す卦は「艮(ごん)」。「艮」は「丑寅」と「土気」という意味もある。

土気=土用は四季の季節と季節の間にあり、前の季節を去らしめ次の季節を生み出す力がある。

つまり、山に入り伐ってくるのが松という呪物で、正月を招き呼び寄せるという意味があるということのようです。

面白いですよね。

しかし先日も書きましたが、このような風習を読み解くために、陰陽五行や易、九星の知識が必要であるならば、吉野さんに続く民俗学の研究者は出てきにくいような気もします。

その辺りのことは、吉野さんも本の前書きや後書きで述べられていました。