先日ブログに、マインドフルネスの普及活動を行っている禅僧のティク・ナット・ハンさんのことを書きました。
この方の思想の土台が唯識にあるということを知って、俄然この方に興味を持ったんですね。この方の本を読んでみようと思っています。
それに先立ち、竹村牧男さんの「知の体系 迷いを超える唯識のメカニズム」(佼成出版社)を再度読み直しています。
この本は、唯識の全体像を分かりやすく解説されているのですが、他の入門書と違うのは、専門用語を省略することなく丁寧に説明してくれているんですね。
そのことがあとがきに書かれています。
「唯識には、確かにむずかしい面がある。その一つの大きな要因として、唯識は全体を通じて述語によって構成されているということがあろう。要は、言葉がむずかしいのである。本来、そのむずかしい術語を一つ一つ修得していくことによってこそ、唯識は了解しうる。このことに留意し、私は本書において、それぞれの術語についてなるべく詳しく解説し、また唯識のものの見方・考え方の基本についてていねいに説明するよう心がけてみた。」
入門書ということなので、例えば五十一種類の心所有法は一つ一つ解説されてはいませんが、豊富な術語が出てくるのでその分解説も詳しいという、入門書の域を超えているようなところがあります。
例えば、六波羅蜜の布施について次のように説明されていました。
「まず、布施とは、三つあります。財施・法施・無畏施(むいせ)です。お金や物をあげるのが財施、教えを授けるのが法施です。法施とは、自らの有している知識等を、すべて隠しだてせず、惜しまず与えるということです。無畏施は、恐れなき心を施すこと、人の心の不安をとりのぞいてあげることです。」
無畏施というのがあるんですね。
将来仕事としてやりたいと思っていることがあるのですが、それは人の心の不安をとりのぞくことが含まれそうです。
将来お布施ができるかもしれないと思うと、ちょっと嬉しくなってしまいました。