昨日は易経の「艮為山(ごんいさん)」という卦(か)のお話をしました。
河村真光著「易経読本」(光村推古書院)の解説によると「世の事象がいかに目まぐるしく動いても、己の心さえ艮(とど)まるべき処に止まっていたら、振り回されることも、また迷うこともない」というもの。
仏教のお坊さんがいっているようでもあり、私はとても好きな卦です。
しかし一方で、実際に怒りがわいたり悲しみに沈んだりしたときは、心の状態を何とかしたいので、易経の知恵で解決できるかといえばちょっと違うような気がします。
易経や陰陽五行は、世の中の仕組みや人間の資質などを知るには最適だと思っています。
心の方は、若い頃に神経症で悩んでいたとき、坐禅の本を買ってきて坐禅の真似事をしたのですが、そのときは効果がありそうだと思ったものの、そのあとが続きませんでした。
数年前には瞑想入門を買ってきて、こちらは細々と続けています。
そして先日、ティク・ナット・ハンさんの「ブッダの〈気づき〉の瞑想」と「ブッダの〈呼吸〉の瞑想」(共に野草社)という本を買ってきて試したところ、私にはこれがとても効くようなんですね。
「息を吸いながら○○、息を吐きながら○○」などと唱えながら呼吸の瞑想をするだけです。
数年前からマインドフルネスが流行っていることは知っていましたが、確かにマインドフルネス恐るべしと思いました。
それにマインドフルネスは、テーラワーダ仏教のヴィパッサナー瞑想が基になっているようですが、ティク・ナット・ハンさんは大乗仏教の人なので、唯識仏教の話も随所に語られていて私には親しみやすいです。
易経とともに、唯識仏教を学んでいてよかったなと思ったできごとでした。