唯識仏教の本は読んでみるとけっこう面白いと思います、その二

昨日の続きです。

十二縁起は「無明→行→識→名色→六処→触→受→愛→取→有→生→老死」でした。

そして昨日のように能引支の説明だけ見てもよく分かりませんでしたが、能引支以外のものと共に、次のように四つ並べて説明を見ると、意味が分かるのではないかと思います。

「能引支」
「所引支」
「能生支」
「所生支」

「能」とは「生み出すもの」、「所」とは「・・・されるべきもの」というような意味でしょうか。

「唯識の十二縁起の解釈―所引支」という箇所から所引支の説明。

「その来世の業果としての生存を、識・名色・六処・触・受の五が表わすと見ています。この辺は、唯識独特の説です。しかもそれらの直接の因となる阿頼耶識の中の名言種子が、所引支として語られるものです。十二縁起の識等の五支を現行においてではなく、種子において見るのです。 (中略) 無明に基づく業によって、人間界か地獄界か等、生まれる世界が決定されるわけですが、そのいずれかの界の種子が特定されて引き出されるので、所引支ということになるわけです。」

「唯識の十二縁起の解釈―能生支」という箇所から能生支の説明。

「第三のグループは、愛と取と有です。この愛と取は、種子ではなくて現行の煩悩です。次の世に、生・老死を生ずるから、能生支というのです。」

「唯識の十二縁起の解釈―所生支」という箇所から所生支の説明。

「十二縁起のなかの生と老死が、所生支です。愛・取に基づく有によって、次の世に生まれさせられるものであるから、「所生支」と名づけるのであります。」