岡野守也著「仏教とアドラー心理学」(佼成出版社)を読んでいました。
今までアドラーの解説書は読んだことがなかったのですが、唯識仏教の専門家である岡野さんが、アドラー心理学と唯識は相性がいい、という切り口で解説されているみたいなので注文したのです。
ただアドラーの心理学は、「人を動かす」や「道は開ける」のデール・カーネギーや、「7つの習慣」のスティーブン・R・コヴィーに影響を与えたとてもポジティブな心理学だということは、有名な話なので知っていました。
「仏教とアドラー心理学」を読んでみると、仏教との関連において次のような箇所が所々に見受けられます。
「仏教との統合というテーマに関していえば、「優越性への努力」、「完全・完成への努力」や「意味(存在意義)への努力」、つまり一般的な心理学用語に置き換えれば人間のやむにやまれない「自我確立への衝動」は、後半で述べる唯識の「マナ識」における「我癡・我見・我慢・我愛」という四つの根本煩悩と重なる洞察であり、どちらもそれ自体は善でも悪でもないとされているところも一致していて、補いあうものだと思われます。」
アドラーは自分の心理学に「個人心理学」という名前をつけたり、アドラーの心理学はトラウマ(心的外傷)を否定するものであったり、欲求五段階説のマズローがアドラーの影響を受けていたりと、私が日頃から読んでいるユングや河合隼雄さんの心理学とは対極にあるようです。
今日はあまりに傾向の違う心理学に触れて、ちょっと呆然としていました。