学生の頃は歴史の成績が悪かったので、自分は歴史嫌いだと思っていたのですが、ここ数年、中世の歴史を中心に興味があり何冊か本を読んでいます。
というのも、綱野善彦さんの「日本の歴史をよみなおす」(ちくま学芸文庫)を読んだとき、戦後くらいまでの私たちの常識として考えられた世界は、だいたい室町時代ぐらいまでさかのぼれるが、13世紀以前は異質な世界である、というような記述にとても興味を持ったからです。
日頃から私たちは、喜んだり、腹を立てたり、悲しんだり、いろいろな感情を持って生活していますが、このような感情は、思想や宗教が違う国で育っていればまた変わってくるんだろうな、と想像はできます。
しかし同じ日本で、ある時代より前の人たちが、私たちの持つ感情とはまた違う種類の感情を持っていたかもしれないと思うと、とても不思議な感じがします。
私が幼稚園の頃、田舎じゃなくても、夜になると至る所に暗闇が残っていました。
当時私は、日本中にできていた新興のアパート団地に住んでいました。
コンビニなんてありませんから、夜になるとあちこちに暗闇があります。
風か何かで「ヒュー」っと音がしようものなら、怖くなって親に「何の音?」なんて聞くわけです。
すると親は、「多分幽霊だ」なんて平気で応えます。
今は親がそんなことをいえる住環境じゃないですよね。
しかし当時も、新幹線が開通していて、数年後には人類が月面に着陸して、大阪万博も開催されようとしている時代です。
これが明治、大正や、それより前の時代だったら、魑魅魍魎の話なんて普通にされていたんじゃないかと思ってしまいます。
そのような想像をよくする方だったので、綱野さんの本を読んで好奇心に火がついて、中世に関する本を買うようになりました。