私はバイオリンを、5分や10分程度ですが毎日弾いています。
弾いているといっても、とても練習のレベルではなく、ただドレミを鳴らしているだけです。
そんなことを17年間続けています。
単にバイオリンの音色が好きで、それを聴きたくて弾いているような。
自分でも、こんな変なことをしている人はいないだろうな、と思っていました。
たまに人から「何か楽器をやっていますか?」と聞かれて、答えに窮してしまいます。
これは楽器をやっていることになるんだろうか・・・。
ところが先日、小泉文夫さんの本を読んでいて、自分と似ているんじゃないかと思う話を見つけました。
以前にも紹介した「音のなかの文化」(青土社)という本の、小室等さんとの対談でなんですが、小泉さんのご自宅の居間の壁に、珍しい民族楽器がいっぱい飾ってあるという記述があります。
小泉さんがお持ちなので、当然研究が目的なんでしょうが、その楽器の中で、ギリシャ起源で牧神が吹いていたといわれているパン・パイプの話題になります。
一本の管で一つの音しか出ない、非常に非経済的な楽器ゆえに、世界に今では大きくいって四ヶ所しか残っていない。
小泉さんは、その楽器の音色が好きで、文化人類学の泉先生にお話したそうです。
「この笛がよくってどうにもなんないんだという話をしたら、実は私もそうなんですよ、っていって」、お二人だけのパン・パイプ愛好協会をお作りになったそうです。
私の場合も、これと同じような感覚なんじゃないかと思います。
そう思うと、何だか安心しました。