ここ数日、SF小説を読んでいる人はあまりいないんじゃないか、というお話をしてきました。
クラークの「幼年期の終わり」やブラッドベリの「火星年代記」は有名な古典なので、読んだ人は多いと思いますが、私のように衝撃を受けるほどではなかったので、他のSF作品を手に取るまでには到らなかったのかもしれません。
私の場合は同じような体験をしたくて、当時本屋さんに行っては、SFコーナーに並んでいる興味をそそられるキャッチコピーが載っている本を買っていたんだと思います。
他のSF小説で同じような衝撃を受け続けていたら、実際にはそうならなかったのですが、SFオタクといわれる方のようになっていたかもしれません。
しかし考えてみると、江戸時代とまではいわなくても、昭和の初め、まだ夜中はいたるところに暗闇が残っていた頃、お化けの存在は身近だったようですし、人類がまだ宇宙に飛び立っていなかった頃は、宇宙人も逆にリアリティをもってイメージされていたんじゃないかと思います。
私たちが子供の頃、ロボットといえば鉄人28号のような姿を想像していましたが、石黒浩さんの作るようなアンドロイドを見慣れている今の子供たちがロボットを想像するとすれば、私たちとは全然違うものになると思います。
SF小説のSFは「サイエンス・フィクション」の略であり、そんなに昔から存在するジャンルではないですし、物語が書かれた時代の科学がそのまま作品に反映するわけですから、古くなって科学的にチープになった世界観でも楽しめるような人じゃないと、好きであり続けるのは難しいジャンルなのかなと思います。