もう一つ例を挙げると、六本の爻(こう)はそれぞれ陰陽の定位置があって、一番下は陽、二番目は陰、三番目は陽、・・・というように、交互に正しい位置があります。
もちろん一番下に陰が来る卦もたくさんありますが、本来陽が来るべき場所に陰が来るのは「不正」といって、基本的にあまりいいとはいえないようです。
例えば63番目に来る卦は「既済(きせい)」といって、下から陽陰陽陰陽陰と各爻がすべて正しい位置にある。
これは最高の形なので、最も幸運な卦だと思いますよね。
しかし、これは「少しいい」という解釈なんです。
つまり並びとして完成しているので、あとは衰退しかない、なのであまりいいとはいえない、という解釈のようなのです。
私はこの説明を読んでびっくりしました。
さらに最後の64番目の卦「未済(びせい)」は、既済の反対で、下から陰陽陰陽陰陽とすべて「不正」の位置にあります。
普通ならば最悪のように感じますが、逆に未来があり、前の既済よりはめでたい、という解釈のようなのです。
いいことばかりとか、逆に悪いことばかりというような極端な決め付けはやめるように、ということなのでしょう。
面白いですよね。とても感動しました。
21世紀の今、SNSはいい場面だけを切り取ったもので溢れていますし、ニュースは悪い方に感情が動くようなものばかり流れています(だからニュースなんですが・・・)。
もうしばらく紀元前から語られてきた言葉に触れてみて、今がどのように見えてくるのか観察してみようと思っています。