古本屋さんめぐりをする人ってこんな感じなのかなと想像してしまいました

先日三宅陽一郎さんというIT業界にいらっしゃる方が、唯識仏教をAIに活用しようとされていることを書きました。

今まで唯識に興味がある人に会ったことはありませんし、ましてやIT業界で研究されている方がいらっしゃるとは思ってもいなかったので、嬉しくなってさらに勉強してみようと思い、本を探していました。

しかし、入門書の次のレベルのようなものになると絶版本が目立つようです。

例えば唯識思想を大成した世親が著した「唯識三十頌(ゆいしきさんじゅうじゅ)」の解説書は太田久紀著「唯識三十頌要講」(中山書房仏書林)、竹村牧男著「唯識の探究―「唯識三十頌」を読む」(春秋社)などがありますが、どちらも在庫切れになっています。

その「唯識三十頌」を護法が注釈し、玄奘が漢訳した「成唯識論(じょうゆいしきろん)」の解説書で、竹村牧男著「「成唯識論」を読む」(春秋社)は販売されているので私は購入しましたが、太田久紀著「成唯識論要講」(中山書房仏書林)は在庫なし、同じ著者の「「唯識」の読み方」(大法輪閣)はPOD(プリント・オン・デマンド)として販売されています。私はを古書で手に入れました。

「成唯識論」と同様に重要な唯識の論書、無著が著した「摂大乗論(しょうだいじょうろん)」も何冊か解説書があるのですが、どれも在庫切れです。しかも古書はどれも価格が高いですね。

今回のように一つのテーマをちゃんと勉強しようと思ったのは初めてのことですが、学者の方などはこのように苦労されているんだろうなと思いました。

定価自体がある程度高く、仏教の解説書のような専門書なのでこのような状態になるのは納得できるのですが、先日購入した若桑みどりさんの「薔薇のイコノロジー」(青土社)も在庫はなかったので古書で購入しました。

若桑さんなんて有名な美術史家でファンも多いと思うのですが、在庫がないのはある程度値の張る専門書だからでしょうか。これものすご〜く面白いですよ。

活字離れが進めばこのような傾向もさらに強くなると思いますが、仕方ないですよね。

こうやって人は古本屋さんめぐりをするようになるのかな、と想像してしまいました。