唯識仏教の本は読んでみるとけっこう面白いと思います、その一
作成者:admin 作成日:金, 04/24/2020 - 23:50今日は竹村牧男著「「成唯識論」を読む」(春秋社)を読んでいました。
今月のブログは何度かこの書き出しで始まっていますが、すきま読書をしている上に五百ページ以上ある本なので、こうなってしまいます。
唯識は術語が多いから分かりにくい、というようなことをどこかで読んだ記憶があります。
確かにそうなのですが、分かってしまうと面白い。
今日読んだのはそのことがよく分かる箇所だったので、ちょっと紹介してみます。
まず「唯識の十二縁起の解釈―能引支」という箇所から。十二縁起説とは以下。
「釈尊は覚りを完成したときに、一週間、解脱の楽しみを味わった後に観察に入り、十二縁起という、人間が苦しまざるをえない仕組みを解明したといわれています。」
具体的には「無明→行→識→名色→六処→触→受→愛→取→有→生→老死」という十二個です。
以下、能引支の説明。
「唯識では、識・名色・六処・触・受の五支を、実に種子として考えます。未来の業の結果に対する名言種子、直接的な因となるものと見るのです。無明・行は、その識等の五果の種子を引くので、ですから能引支だというのです。つまり業は、来世にどの身体と環境世界を引き出して現行させるか、に関わるわけです。」